『「知」の読書術-公開ライブ』目的の東京国際ブックフェア

1日だけだけど、東京国際ブックフェアに行ってきた。
横浜からお台場(大都会すぎ!)に行くので、経路検索から苦悩する。
#方向音痴の私を、夫は木曜日から心配していた。

乗り換えに迷うより、Y-catで横浜駅東口からビックサイトまでバスで1本にした。
殊にこの日は、朝から京浜東北とか東海道も事故等で遅延していたらしいから。

ブックフェアの目的は佐藤優氏の講演を聞きに行くこと。
事前から申込みを済ませ、真面目に心待ちにしていた。

http://www.bookfair.jp/Conference_Event/Conference_Event05/DK/#DK-1
「知」の読書術 公開ライブ

13:00からの講演内容は本当に素晴らしかった。

メモも取っていないので、内容の前後がおかしかったり、あいまいになるが講演内容を。

◆冒頭
毎朝4:30起床で、各新聞に目を通されているとのこと。
この時間はネットでも朝刊の記事がupされるので、確実なニュースの取得がしやすいそうです。

「絶歌」についてコメントが。
佐藤さんも拘置去れたことがあるので、東慎一郎(仮名-ここは私が注記)さんが本を出すことを禁止されたら、自分も出せなくなるだろうとのこと。
「サムの息子法」は日本では施行されておらず、出版の権利はどんな人にもあること。

毎年、日本で出版される本には「読ませたくなる」力がある書籍があり、「絶歌」もこれに相当すること。
しかし、読了した上で、下記のような事も仰っていた。

・著者さんにはまだ治療が必要なのでは無いか?
・このような本の出版は自由だが、当然の対価としてご遺族の方から出版差し止めを受けるのもありうるだろう。
・「絶歌」を読む上で理解の助け?になるのは名古屋の女子大生が読んでいた?書籍(名前は失念)で、未成年が他者を殺害する内容のものがあること。

・1つの本を理解する上では、前述のように何らかの副読本的なものがあった方がいいこと。
・太田出版がこの本を出したことで騒がれているが、放置していても他の出版社から発刊されていたであろうこと。

◆良い本を見つける為に
1)実際の本を手に取って
最初と最後は、著者も出版社も気合いが入っているが、中ほどに誤植が多かったり。
はたまた内容の文章が、きちんとしていない本は芳しくないとのこと。

本を出すことは著者が書きたいことがあるからで、中ほどに文献の孫引きのみで結果が伴わない?ような記述がある書籍は微妙とのことでした。

また、文体が整わない本もお勧めはできないそうでした。

出版業界は本を出すことがお金を回すことになるので、出さざるを得ない本がいくつかあるそうです。
これらは返本され断裁になるのかも知れません。

佐藤さんは自署が断裁されるのは忍びないので、初版部数は少なめにしているそうです。
また、手元にある「本来なら返本の宿命」になりそうな書籍も大事に保管し、断裁は避けたい方向とのことです。

文体の不整合な例として、資本論が挙げられました。
最初の3刊まではマルクスの自筆、その後はエンゲルスや別人が記述しているそうです。
前者は記述内容が多層構造になっていて、ユダヤの神学書?のように読み応えがあるそうなんですが、後者は平坦な文章になっているとのこと。

文体のお話で、百田尚樹さんのお名前がでました。
近年のベストセラー作家として知られていますが、著書毎に文体が違う。
多くの作家は独自の文体が出てきてしまうが、1作毎に変化し読み応えがある本を作っておられることを、非常に褒めていました。

私も少しだけ百田さんの本は読んだことがありますが、確かに違うよなぁと思います。

2)書評家
多くの書籍があるが、良い本を見つける手段として、書評家の勧める本が助けになるとも。
彼が名前を挙げた人々は。

・手嶋 龍一さん
・副島 隆彦さん
・名前が出てこないが、神学研究者でドイツ語が堪能らしい人

・鳥飼 玖美子さん
彼女の話になった時に、日本の教育について言及されていた。
中学教育が悪い訳では無いが、薄いのでは無いか?との疑問でした。
中学校で必要な英単語が800あたりで。
難関高校に入る為には1500?だったかな。

そして、高校卒業時には3000くらい。ゆとり時代には2000くらいに下がったそうだがそれでもTOEICには単語数が足りない。
なのに大学受験にこの制度を運用しても意味がないのでは無いか?と、鳥飼さんは仰ったらしい。

◆佐藤さんの語学学習体験談
この辺りから、ロシア語のお話になった。
外務省を辞めた時に、知人が北海道でカニの直接取引(当時はまだ合法)をやっていた為、彼も同業になろうと思ったそうだ。
ロシア語に不自由しない経緯からの発言かと思われるが、その知人もカニ系のお仕事を辞めてしまい。

その後、露語を学ばれた外務省の学習システムに触れられた。
学習期間は概ね2年。難解なアラビア語は3年程。

当省庁の語学習得システムは第一次大戦に端緒があり。
日本の重鎮が、国際会議にて多国間交渉が出来ず仕舞いの苦難解消から始まったとのことです。

2国間なら、相手国も平易な単語や文章を使ってくれるが、多国間だとそうもいかず。
当時の日本は、交渉もできない国家だと思われたそうです。

話を戻すと、最初の1年で小学生レベルの外国語をたたき込む。
翌年は英国(ロシア語の場合)にて、厳しい語学学習を行ったそうです。

かの国の教育施設では、週に数回あるテストで、落第点を2回とったら退学。
毎月、定期テストがあり、不合格なら退学。
こんな感じの厳しい経緯を経て、外務官として通用するロシア語話者になったそうでした。

佐藤さんは今でも毎月ロシア語のレッスンを欠かさず、チェコ語は毎週鍛練しているとのことでした。

◆お金を払うことの重要性
幾名か書評家の方々の名前を挙げ、もし個人がこれらの情報を知りたければ幾らお金があっても足りない。
しかし、書籍を買い求めれば、手に届く金額で取得できる。

タダのものの使え無さ?的なことにも少し言及されていたが、忘れてしまった…。

◆何を学ぶか
佐藤さんは、いくつかの大学で政治経済の講義を持っておられるそうです。
講義開始時に、歴史的出来事の年号をテストするそうなのですが。
100点満点での試験に、どの学生も機首は惨憺たる結果なのだそうです。
#早慶戦で平均4-5点を争い、佐藤さん母校では5点ちょいが平均とのことです。
#母校ではこのテストの存在をしる学生がおり、事前準備を行った為、平均点が高目だそうです。

そこで受験勉強としての日本史・世界史では、年号はイヤでも覚えなければならないことで。
暗記物として毛嫌いされがちとのこと。

とはいえ、政治や経済を語る上で、ウェストファリア条約(成立年・1648年)を知っておくことは、「世界初の近代的国際条約」が締結され、「神聖ローマ帝国が終わって近代へ」の契機で、知らないといけない事項とのこと。

この辺は、適切なたとえ話があったのだが、覚えておらず。
端的に、年号などの基礎を押さえておかないと、買い物に行くのに財布を持たない事と同じ的なお話をされたのだと思う。

そして、学生さん達は通年の講義が終わった時には、この年号テストでほぼ満点に近い結果を出すそうです。
「人間は嫌なものは覚えないが、必要とあらば身に付ける」とのお話があった。

◆作家として
作家として転職された際に、井上ひさしさんから助言を得たとのことです。
・出版社とは個人で対峙し、一社につき3人は話が出来る相手を作っておくこと。
 #この辺りの作家事情は解り兼ねるが、1つの出版社を窓口にしている作家さんが多いのかも知れない。

・目標リストを作成すること
助言を得た際、井上さんに年齢を問われた佐藤さんは45歳でした。
すると、作家としてばりばり働けるのは70歳くらいまでなので、目標=書きたいものリストの作成を勧められたそうです。
助言者は遅筆で知られているそうなのですが、「作家として幾年か年月を重ねると、自分の執筆速度が分ってくる。なので、衰えるまでに書きたい内容を自覚しておいた方がいい」とのことでした。

この提言を受け、佐藤さんは今年のヤン・フス没後600年を見据えて、昨年に著書を出されたそうです。
私は神学関係に疎いのだが、このフスは宗教改革の契機となった人物とのことで、神学的にも欧州史的にも重要なのだそうです。

現在の佐藤さんは月間80本位の締め切りを抱えており、多忙だからこそ井上さんの助言のありがたみが痛感できるそうです。

◆今後
今後は「知性」について構想を練っておられるそう。
ピケティが話題になったが、彼の格差解消理論は日本には適合しないのではないか?との提言。
日本社会では資産家全ての統制?を図ることができないので、5千万から1桁台の億単位の資本家が狙われ、国家に搾取されるのでないかとの疑念を。
#この辺の単位は、うる覚え。ただ、この理論に疑義を表していたことを覚えてる。

基本的に神学科のご出身で、神学に造詣が深いので、これらの書籍の作成を予定しているとのこと。

◆最後に
冒頭の方でも書籍の流通が不活発になっていることで、カンファレンス後には、「是非書籍を見て、発見して。買い求めてください」とチャーミングに仰っていたw

私も釣られて語学学習の本2冊と農村系の展示者さんから手ぬぐいを買い求めて帰りました。

最近、学びたい事の意欲が下がっていたので、良い時間を持てたことが嬉しい。

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